昔から被り物が大の苦手だった。デパートの屋上で活躍する被り物たちも、舞浜で活躍するネズミの被り物たちも、不気味で理解できなくて、大声で泣いて全力で目をそらした。同じような理由で、外国人も苦手だった。身体が大きくて、目の色が違って、使ってい…
狭い部屋に置かれたMarshallのスピーカーからMaroon5のSundayMorningが流れた。 もう朝か。授業がない朝は素晴らしいものだなあ。さて、いつまで続くものか。そろそろ仕事でも探さないとな。 フランスで生まれ育ち、一旦はフランス国内の大学を出てパリで仕…
「結婚してほしい。」 彼は私に跪き、そう言った。 次の瞬間には小さな箱が開けられていた。 幼いころから思い描いていた夢、素敵なお嫁さんになること。 それが叶う瞬間だった。 「はい、これからよろしくお願いします。」 そう言って私は泣き崩れた。 今ま…
「しょんべん小僧は残念スポットなんかじゃない。」 「EUの本部は絶対にここはじゃない。」 「私も巨人の手を投げられる人生がよかった。」 髪の毛を眉毛からだいぶ上で切りそろえた彼女は自信をもってそう言い放った。 卒業旅行に行ってから別れてしまった…
ドラッグとセックスの街、アムステルダム。 そんなのは虚構だ。 アムステルダムは優等生のようだ。 ドラッグとセックスを押し売りしておいて、実は水の都であり、風車の街である。 そんなことを思ったのは、セックスを売りすぎてしまったからだろうか。 若い…
死ぬまでにやりたい100のこと 【仕事編】 1. 人事の仕事につく 2. 仕事で海外に行く 3. 自分が会社に影響を与えたと思える仕事をする 4. 自分の専門性を一言で表せるようにする 5. 複数の収入源を持つ 6. プロボノをする 7. 友達や自分の古巣と仕事をする 8.…
広がるコンクリート。 けたたましく駆け込む電車の音。 垂直に歩けたってなかなか辿り着かないような高いビル。 それは日常であり異常な光景である。 この光景にもう一つ付け足せば東京ではないことが分かるだろうか。 すれ違う人たちはいくら仲がよくてもオ…
ある朝、グレゴール・ザムザが不安な夢からふと覚めてみると、ベッドのなかで自分の姿が一匹の、とてつもなく大きな毒虫に変わってしまっているのに気がついた。 トムは昨日読みはじめた本を思い出した。それは、祖国であるチェコの代表的な作家、フランツカ…
ドアを開けた。そろそろ陽が落ちる。 仕事が始まる。 1週間分の食料も買い込んだし、久しぶりにセーチェニ温泉までいってきた。やはり日本人にとって温泉は力の源になる。 僕はブダペスト東側の地区に住んでいるので、歩いて橋を渡らなければならない。だか…
21歳。はじめての海外旅行。 その場所に選んだのはオーストリア、ウィーンだった。 一番懸念していた鉄の塊が空を飛ぶかどうかという問題はクリアされたみたいだ。気づいたら乗り継ぎのドイツに着いていた。 そこから飛行機を乗り換え1時間半ほど経つと目当…
水と、ともに生きてきた。 これはよくある比喩でもないし、人間の60%が水で出来ているという話でもない。私は日本人としては珍しく、海外で生まれた。それも、イタリア、ヴェネツィアで。 この事実は、日本に行った時には心を躍らせるし、イタリアに帰って…
いつも一人だった。 それは仕方なく一人なのではなくて、間違いなく自らの手で掴み取った一人なのだ。 日本人はいつも一人に対して恐れ慄いているから不便だ。 いつだって、自分の気持ちは一人で噛みしめるしかないというのに。 「あれ3限のテストの教室って…
僕は悩んでいた。 この店を手放すか否かについて。それは10年ぶりに街で見かけた同級生に声を掛けるか否かと同じ程度には難しいテーマであった。 「ボンジョルノ!いつものクロワッサンとカプチーノを頼むよ。」 「ボンジョルノ、昨日のローマは酷かったね!…
待ち合わせをしていた。 待ち合わせというのは、大抵が目的地の近くの駅だったり、その日予約している店だったりする。ただその日は違っていた。 家を出てから既に半日ほどの時間が経っているのにも関わらず、時計の針は半分しか進んでいなかった。ツカヤは…
バックパック旅 もちもの 冬 ヨーロッパ編 服 ・マウンテンパーカー(Columbia) ×1 ・フリース(gym master) ×1 ・ウルトラライトダウン(UNIQLO) ×1 ・襟付きシャツ(Gymphlex) ×1 ・長袖シャツ(MUJI) ×1 ・ヒートテックシャツ ×2 ・チノパン(MUJI) ×1 …
バックパック旅 もちもの 夏 服 ・ウインドブレーカー ×1 ・長袖シャツ ×3 ・半袖シャツ ×1 ・パンツ ×2 ・水着 ×1(寝巻き) ・下着 ×3 ・靴下 ×3 アイテム ・ウエストポーチ ・折りたたみリュック ・ビーチサンダル ・サングラス ・キャップ ・アイ…