春はいつまで寝てるのか

旅についての記憶を。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ロンドンと僕

昔から被り物が大の苦手だった。デパートの屋上で活躍する被り物たちも、舞浜で活躍するネズミの被り物たちも、不気味で理解できなくて、大声で泣いて全力で目をそらした。同じような理由で、外国人も苦手だった。身体が大きくて、目の色が違って、使ってい…

パリから足をのばして

狭い部屋に置かれたMarshallのスピーカーからMaroon5のSundayMorningが流れた。 もう朝か。授業がない朝は素晴らしいものだなあ。さて、いつまで続くものか。そろそろ仕事でも探さないとな。 フランスで生まれ育ち、一旦はフランス国内の大学を出てパリで仕…

ルクセンブルクの影

「結婚してほしい。」 彼は私に跪き、そう言った。 次の瞬間には小さな箱が開けられていた。 幼いころから思い描いていた夢、素敵なお嫁さんになること。 それが叶う瞬間だった。 「はい、これからよろしくお願いします。」 そう言って私は泣き崩れた。 今ま…

あの子とブリュッセル、時々アントワープ

「しょんべん小僧は残念スポットなんかじゃない。」 「EUの本部は絶対にここはじゃない。」 「私も巨人の手を投げられる人生がよかった。」 髪の毛を眉毛からだいぶ上で切りそろえた彼女は自信をもってそう言い放った。 卒業旅行に行ってから別れてしまった…

アムステルダムの裏側

ドラッグとセックスの街、アムステルダム。 そんなのは虚構だ。 アムステルダムは優等生のようだ。 ドラッグとセックスを押し売りしておいて、実は水の都であり、風車の街である。 そんなことを思ったのは、セックスを売りすぎてしまったからだろうか。 若い…